人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

風立ちぬベンチ

草紅葉が色づき始めたある日、湿原の奥の小さな木のベンチに風が座っていました。遠い日の記憶を呼び覚まして…


by sizuku

青梅宿 津雲邸



昭和の街青梅に、津雲邸という美しい木造建築の建物があります。
この建物は青梅出身の代議士、津雲國利氏:明治26年-昭和47年(1893-1972)の私邸でした。
津雲氏は、昭和3年より22年間衆議院議員として活躍されたそうです。
この建物は昭和6年~9年にかけて建造され、京都の宮大工を招き、青梅の大工、石工、畳職などとの
協働により建築された純和風の建物で、随所に職人が技巧を凝らし贅を尽くした建築物だそうです。
(津雲邸HPより)

青梅宿 津雲邸_a0379133_10174954.jpg

この建物は、2014年11月1日まで、50年近い年月を閉ざされたままでした。
素晴らしい建物であると同時に、津雲氏が収集された歴史的にも貴重な文化財が眠ったままでした。
これらの貴重な文化財に光を当てるべく、津雲氏の孫であるご家族が私財をかけて公開を決断されました。
いつも街歩きをしながら「立派な建物だなぁ、中を見せていただきたいな」と思っていたわたしは喜び勇んで
開館された津雲邸に足繁く通わせていただきました。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11011438.jpg


青梅宿 津雲邸_a0379133_11014688.jpg


青梅宿 津雲邸_a0379133_10171203.jpg



雛祭展、幕末維新展、江戸の浮世絵展、屏風展、日本画とお道具展、幕末から明治への英傑たちの書簡展など
工夫を凝らし、素晴らしい展示会を開催されています。

ご主人様、奥様をはじめ、解説員のHさんは、文化財や史実への造詣も深く、時代考証もしっかりと勉強され、
美術品や文化財と共に、その展示物について深く掘り下げ解説してくださいます。
また、歴史上の人物の人となりまで彷彿とさせてくれるようなエピソードなど思わず引き込まれてしまいます。上品で穏やかなお人柄も相まって、お話を伺うのも楽しみで展示会ごとに伺わせていただいています。

今は、美術品の保護の観点から撮影は禁止されていますが、最初の頃、撮らせていただいた貴重な写真を
載せさせていただきます。(現在は撮影禁止ですのでご了承ください)

リアルで迫力ある役行者象、茶室の前に鎮座していました。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23280952.jpg



美しい茶室の佇まい、障子の桟に注目してください。竹の節の部分が使われています。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11101957.jpg



雪見窓の美しさ、竹を編みこんだ建具も素晴らしいです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11113809.jpg



大正ガラスと呼ばれ、手拭で作られた板ガラスを使用した窓ガラスは、厚みが均一ではないため
ゆらゆらと歪んだように見えるのが特徴です。現在ではほとんど作られていない貴重なガラスです。
廊下に映った影も素敵です。

青梅宿 津雲邸_a0379133_11120818.jpg



明かり取りの欄間も大変手の込んだ造りになっています。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11125909.jpg



最初の頃はこのような会議室になっていましたが、現在はメインの展示場になっています。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11475815.jpg


美しい火打窓の前に置かれた古い置時計



青梅宿 津雲邸_a0379133_11483489.jpg



孔雀と椿が描かれた掛け軸


青梅宿 津雲邸_a0379133_11492228.jpg



犬の置物(香炉?)は、子孫繁栄のお守りとして嫁ぐ娘に持たせたものだそうです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_12180160.jpg



片口の陶磁器、陶磁器の事は良く判らないのですが気品を感じます。



青梅宿 津雲邸_a0379133_11504385.jpg



この屏風は大変貴重なものだそうです。作者は忘れましたが、
たしか国立博物館所蔵の屏風との対になっているとお聞きしたような気がします。



青梅宿 津雲邸_a0379133_23483385.jpg


屏風絵も掛け軸も四季折々に展示してもしきれないほど所蔵されているそうです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23485023.jpg



青梅宿 津雲邸_a0379133_23465440.jpg


たおやかに風に揺れているような秋桜を描いたこの屏風絵は本当に美しいです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23474753.jpg


可愛らしいお姫様が描かれた掛け軸です。


青梅宿 津雲邸_a0379133_00041994.jpg



浮世絵も何点も所蔵されています。江戸情緒漂う感じです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_00040845.jpg


調度品も美しく、漆塗りの小箪笥に施された螺鈿と金蒔絵のこの作品は素晴らしいです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23480783.jpg


巨木をくり抜いた火鉢に施された菖蒲の絵も螺鈿と金蒔絵です。



青梅宿 津雲邸_a0379133_23475858.jpg


二階のお部屋からは、景色が良く、昔は多摩川の流れも見えたそうです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23501731.jpg



青梅宿 津雲邸_a0379133_01182548.jpg



この障子戸に施された鳳凰の彫刻と、桟の美しい細工が見事です。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23514822.jpg



欄間の細工も美しいです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23540816.jpg



津雲家の家紋は蝶だそうで、色々な所にモチーフとして描かれています。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23534536.jpg



中庭を挟んだ茶房の瓦屋根が美しいです。



青梅宿 津雲邸_a0379133_23512784.jpg


青梅宿 津雲邸_a0379133_11123760.jpg



何気なく置かれた古い箪笥に福助の置物、昭和を感じさせますね。


青梅宿 津雲邸_a0379133_00030251.jpg



青梅宿 津雲邸_a0379133_11111741.jpg


茶房は煤竹の天井が演出する和室と洋室の2部屋があります。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11111851.jpg


ゆったりと落ち着いた和室でいただく抹茶、お盆も金蒔絵が施された美術工芸品です。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11105950.jpg



細い格子戸がとても気品があり、光が和らいで映ります。



青梅宿 津雲邸_a0379133_23551789.jpg



この日は昭和初期の珈琲カップで淹れていただきました。
ワイン色の流線型の模様が美しいカップ&ソーサーでした。


青梅宿 津雲邸_a0379133_11111784.jpg


和室の茶房で珈琲をいただいた時の写真です。
模様が透き通って見えるカップ&ソーサーに窓の外の光が映りこみ美しかったです。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23555049.jpg


奥様がお作りになるシフォンケーキはとても美味しいくて、わたしはファンです。
その都度、カップを選んで淹れてくださる珈琲も最高です。
伺う度に、いつもお心遣いをいただき、本当にありがたく思っています。


青梅宿 津雲邸_a0379133_23561819.jpg


お花を生ける奥さまのセンスを感じて癒されます。


青梅宿 津雲邸_a0379133_00045776.jpg


青梅宿 津雲邸、青梅にいらっしゃったなら、ぜひ訪れてみてください。
金・土・日の開館ですが、一つの展示が終ると、作品の入れ替えで休館になる時もありますので
HPでご確認の上、いらっしゃってくださいネ。

青梅宿 津雲邸 (HP)

青梅宿 津雲邸_a0379133_11112682.jpg


by kazetatinu-h | 2017-11-08 00:59 |