青梅宿 津雲邸
2017年 11月 08日
昭和の街青梅に、津雲邸という美しい木造建築の建物があります。
この建物は青梅出身の代議士、津雲國利氏:明治26年-昭和47年(1893-1972)の私邸でした。
津雲氏は、昭和3年より22年間衆議院議員として活躍されたそうです。
この建物は昭和6年~9年にかけて建造され、京都の宮大工を招き、青梅の大工、石工、畳職などとの
協働により建築された純和風の建物で、随所に職人が技巧を凝らし贅を尽くした建築物だそうです。
(津雲邸HPより)
この建物は、2014年11月1日まで、50年近い年月を閉ざされたままでした。
素晴らしい建物であると同時に、津雲氏が収集された歴史的にも貴重な文化財が眠ったままでした。
これらの貴重な文化財に光を当てるべく、津雲氏の孫であるご家族が私財をかけて公開を決断されました。
いつも街歩きをしながら「立派な建物だなぁ、中を見せていただきたいな」と思っていたわたしは喜び勇んで
開館された津雲邸に足繁く通わせていただきました。
雛祭展、幕末維新展、江戸の浮世絵展、屏風展、日本画とお道具展、幕末から明治への英傑たちの書簡展など
工夫を凝らし、素晴らしい展示会を開催されています。
ご主人様、奥様をはじめ、解説員のHさんは、文化財や史実への造詣も深く、時代考証もしっかりと勉強され、
美術品や文化財と共に、その展示物について深く掘り下げ解説してくださいます。
また、歴史上の人物の人となりまで彷彿とさせてくれるようなエピソードなど思わず引き込まれてしまいます。上品で穏やかなお人柄も相まって、お話を伺うのも楽しみで展示会ごとに伺わせていただいています。
今は、美術品の保護の観点から撮影は禁止されていますが、最初の頃、撮らせていただいた貴重な写真を
載せさせていただきます。(現在は撮影禁止ですのでご了承ください)
リアルで迫力ある役行者象、茶室の前に鎮座していました。
美しい茶室の佇まい、障子の桟に注目してください。竹の節の部分が使われています。
雪見窓の美しさ、竹を編みこんだ建具も素晴らしいです。
大正ガラスと呼ばれ、手拭で作られた板ガラスを使用した窓ガラスは、厚みが均一ではないため
ゆらゆらと歪んだように見えるのが特徴です。現在ではほとんど作られていない貴重なガラスです。
廊下に映った影も素敵です。
明かり取りの欄間も大変手の込んだ造りになっています。
最初の頃はこのような会議室になっていましたが、現在はメインの展示場になっています。
美しい火打窓の前に置かれた古い置時計
孔雀と椿が描かれた掛け軸
犬の置物(香炉?)は、子孫繁栄のお守りとして嫁ぐ娘に持たせたものだそうです。
片口の陶磁器、陶磁器の事は良く判らないのですが気品を感じます。
この屏風は大変貴重なものだそうです。作者は忘れましたが、
たしか国立博物館所蔵の屏風との対になっているとお聞きしたような気がします。
屏風絵も掛け軸も四季折々に展示してもしきれないほど所蔵されているそうです。
たおやかに風に揺れているような秋桜を描いたこの屏風絵は本当に美しいです。
可愛らしいお姫様が描かれた掛け軸です。
浮世絵も何点も所蔵されています。江戸情緒漂う感じです。
調度品も美しく、漆塗りの小箪笥に施された螺鈿と金蒔絵のこの作品は素晴らしいです。
巨木をくり抜いた火鉢に施された菖蒲の絵も螺鈿と金蒔絵です。
二階のお部屋からは、景色が良く、昔は多摩川の流れも見えたそうです。
欄間の細工も美しいです。
津雲家の家紋は蝶だそうで、色々な所にモチーフとして描かれています。
中庭を挟んだ茶房の瓦屋根が美しいです。
何気なく置かれた古い箪笥に福助の置物、昭和を感じさせますね。
茶房は煤竹の天井が演出する和室と洋室の2部屋があります。
ゆったりと落ち着いた和室でいただく抹茶、お盆も金蒔絵が施された美術工芸品です。
細い格子戸がとても気品があり、光が和らいで映ります。
この日は昭和初期の珈琲カップで淹れていただきました。
ワイン色の流線型の模様が美しいカップ&ソーサーでした。
和室の茶房で珈琲をいただいた時の写真です。
模様が透き通って見えるカップ&ソーサーに窓の外の光が映りこみ美しかったです。
奥様がお作りになるシフォンケーキはとても美味しいくて、わたしはファンです。
その都度、カップを選んで淹れてくださる珈琲も最高です。
伺う度に、いつもお心遣いをいただき、本当にありがたく思っています。
お花を生ける奥さまのセンスを感じて癒されます。
青梅宿 津雲邸、青梅にいらっしゃったなら、ぜひ訪れてみてください。
金・土・日の開館ですが、一つの展示が終ると、作品の入れ替えで休館になる時もありますので
HPでご確認の上、いらっしゃってくださいネ。
青梅宿 津雲邸 (HP)