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風立ちぬベンチ

草紅葉が色づき始めたある日、湿原の奥の小さな木のベンチに風が座っていました。遠い日の記憶を呼び覚まして…


by sizuku

渓流は歌う


3月11日(日)ハナネコ女子会の日です。
渓流に咲く小さな花、ハナネコノメに逢いたくて集まった花好き女子が年に一度、集う日です。
日増しに暖かくなり、里に梅の便りが届く頃、奥多摩の渓流には小さなハナネコたちが目覚めます。
今年も数日暖かい日が続けば満開のはずと、急遽この日に決めましたが、ここへきて寒の戻りもあり
ちょっとフライング気味でしたが、それでも咲き始めたばかりの可愛いハナネコノメたちに出逢えました。
遠いところ、駆けつけてくださったみな様ありがとうございました。


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集合は、奥多摩の無人駅古里駅からです。
無人駅ですが、地域のコミニュティーセンターにもなっていて、清掃が行き届いた綺麗な駅です。
奥多摩の駅は何処も地元の方々が管理してくださっていて、トイレも清潔でありがたいです。

さて今回、ハナネコ女子会のみなさんの都合がことごとく合わず、ずうたさんのみの参加となってしまい
申し訳ないなぁと思っている所、旧友のむじなさんが参加してくださることになりました。
お二人を待つ間、祭囃子が聴こえて来ました。あれは一昨年の女子会の時の祭囃子では?と思い
覗きに行ってみたら、やはりそうでした。



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予定時刻にお二人が到着されました。
ずうたさん、『しずく姐さん、お久しぶりです。ハナネコノメを楽しみにしてきました。』
むじなさん、『奥多摩の女神さまに逢いに来たよ。姥になったって話もあるらしいけど…』
もう、むじなさんたら、相変わらず毒舌なんだから、でも、女神さまってわたしの事?
姥でも、嬉しい(笑)
そんなこんなの挨拶の後、先ほどの祭囃子を確かめるべく里道を行きます。
民家の枝垂れ梅が美しいです~♪


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やはり、一昨年のお祭りで水天神様の天神講のお祭りだそうです。
わたしたちが行くと、『お客さんが来たよ!』と、甘酒で歓待してくださいました。
そして、一昨年わたしたちが来た事を覚えていてくださったお父さんが何人もいました。
5月29日に行われる熊野神社の祭礼にも招待してくださいました。
わたしたちはお礼を申し上げて歩き始めました。ほんと、奥多摩の人はみな素朴で優しいですね。


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城山を望みながら里道を歩きます。近くの杉山からは狼煙のように花粉が飛散するのが見えます。
花粉症のずうたさんとわたしは、くしゃみやら目が痒くなったりと大変です。


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とても綺麗な黄梅が石垣を埋めています。
異常に寒かった冬が終わり、春になったら急激に温度が上がったり、このまま温度が上がれば
例年より、ハナネコの開花は早まるだろうと見通して今日にしたのですが、ここにきて大雨と
急な冷え込みがあって、花々の開花は例年並みとなったみたいです。
ああ、読みが外れてしまいました。花の開花は誤算だったようです。

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美しい枝垂桜の咲くお寺、丹叟院さん、高台の境内からは古里の街並が一望できます。
京都の有名な花のお寺から移植したという枝垂桜の花の時季にまた訪れましょう。



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花笠のような枝垂れ梅、清楚な白梅が、青空に映えて何とも美しい。



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行く手に見えて来たのは古里の小丹波熊野神社です。
東京都の重要文化財に指定された木造杮葺きの楼門のような建物があります。


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最初に訪れた時、山里に忽然と現れた姿に胸が躍りました。まるでタイムスリップしたような
時を経ていぶし銀のような光を放つ建物でした。
数年前、8千万円かけて修復され、とても美しく生まれ変わりました。
こうして手を入れていく事で、建物の老朽化を防ぎ後世に残していけるのは素晴らしいことですが、
個人的には、あの、何とも言えない昔ながらの風情が消えてしまうのはとても惜しい気がします。
最初に訪れた頃の、まるで座敷童が棲んでいそうなあの雰囲気はもう、ありません。



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石段を登り、正面の入り口をくぐって境内へと入ります。何とも不思議な雰囲気です。
奥多摩には、このような作りの神社が他にもあります。
この楼門自体が、農村歌舞伎の芝居小屋のような作りになっているのです。


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境内側から見ると大きな舞台になっているのが判ります。
現在は戸が閉まっていますが、以前はこの戸が無くて舞台は開け放たれたままでした。
古びた杮葺きの屋根と、少し朽ちた木造の壁や床張りや、中に入る事も出来てしんとした空間に立つと
何だか座敷童が棲んでいそうだという発想が浮かんだのでした。


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境内は大きな杉林に囲まれていて、当時は素晴らしい巨樹もありました。
かなり老木だったので危険とみなされ、現在は伐採されてしまったようです。


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初めて古里を訪れた方には、この熊野神社をご案内することにしています。
ずうたさんは昨年も参加されたので2回目ですが、むじなさんは初めてでしたので(^^)
熊野神社を後にして、少し田舎道を歩き梅林が見渡せる場所に行きましょう。
オオイヌノフグリがたくさん咲き出して春を歌っていました。


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まるで水墨画のように煙る白梅、その枝ぶりも素晴らしいです。


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とても日当たりが良くて温かい梅林、メジロたちが飛び交っていました。


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昨年もお邪魔したカヌー工房さんに今回もちょっとだけ寄らせていただきました。
オーナーの山崎さんは納期が迫るカヌーの制作中にもかかわらず、お忙しい手を止めて笑顔で
応対してくださいました。山崎さん、いつも爽やかな笑顔で迎えてくださってありがとうございます。


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お友だちのKanさんが、来週からカフェカーで常駐されるそうです。
何だか、素敵な方向に動き出している感じです。
kanさん作製のマグカップを購入しました。まだ眠たそうなヤマメくん。ユルキャラで癒されます。


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Mountscape の素敵なロゴ入りです。


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早々にカヌー工房さんをおいとまして近道で川へと向かいました。
緩やかに流れる浅い多摩川の流れ、時折川面がキラキラと輝きます。
ピーヒョロ~!と鳴きながら悠々とトビが川面を飛んでいました。
すると、急降下!あっ、着水した!と思ったら近くの岩の上に舞い降りました。
堂やら獲物を捕ったようです。しばし岩の上で食事した後また飛翔しました。

「ねぇ、見た~?獲ったネ!!」 『うん、見た!良く獲物が見えるよね!!』
と、わたしたちの会話はこんな感じ(笑)


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落ち椿を見つけるとつい撮ってしまうわたしです。



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寸庭の上滝(うわったき)です。今日は水量が多くて迫力がありますが、流れが深くて下までは
回り込めませんでした。遠くからパチリです。



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杉木立の中の林道をしばらく進みます。木漏れ日が射しこんで光の具合はとってもいい感じ、
ハナネコ基地での撮影に期待が持てると思ったのですが…


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苔生した岩にさえ、心が躍ります。


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そして、着きました風の谷 ハナネコ第一基地です。
「この場所が一番最初に咲く場所なんですよ」と、みなさんをご案内しました。
丁度、渓谷に差してきた陽射しが射しこんで、ハナネコノメがキラキラ輝いています。
急いで一枚撮って、次の場所へと向かいました。でも、この後30分ほどで日が陰って来ました。
結局、一番いい光源で撮ったのは、この一枚だけでした。
こんな事なら、もう少しじっくり撮っておけば良かったです。



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この渓流は、とても澄んでいて流れが美しいのです。
水の色が深いアイスブルーやエメラルドグリーンになっていて、ああ、なんて綺麗なんだろう…って
思ってしまいます。光がくぐればなおさら美しくて…
ちょっとした段差を流れ落ちる水が、白い飛沫になって、そしていくつもの泡になって弾けます。
きっと酸素をいっぱい内包した、たくさんの命を育む流れなんだと思います。



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浅い流れも透き通っていて、川床の石が良く見えます。



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ポコポコと、ユラユラと、春を詩っているような…こんな流れが好きです。


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岸辺のいたるところにハナネコノメがびっしりなんですが、やはりまだ蕾が小さいのです。



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流れの大岩のハナネコちゃん、今年も健在ですが、まだまだ眠たそう(^^)


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渓流に掛かったクモの巣です。判るかしら?



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流れとハナネコノメ、もう少し光があったら良かったのですが…すっかり日が陰ってしまいました。


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同じお花をマクロで寄ってみます。


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こちらのハナネコは真っ赤な蕊のハナネコです。


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こちらは、毎年オレンジ色の蕊になります。


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そして、ここで、こいちゃん登場です。
こいちゃんは、わたしが一番最初にこの風の谷にご案内したお友だちです(^^)
『もう、かれこれ15年になりますね。』と、こいちゃん。
「え~!!もうそんなに経ちましたか。あの頃は若かったですね~」なんて(^^)

あれから随分たくさんのお友だちをご案内したけれど、少しも変わらずに、この場所があり
ハナネコノメが毎年変わらずに咲いてくれることが嬉しいですね。



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コチャルメラの葉っぱもたくさん出ていましたが、咲いているのはほとんどありません。



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ひとしきり撮影した後、この上流のもう一つのハナネコノメの基地にご案内することにしました。
皆さん、健脚なのでもう少し山道を歩いていただく事にしましょう。
そこは、一番最初にわたしが辿り着いた場所、「風の谷」と呼んだ場所なんです。


風の谷には、蛍の飛ぶ小さなキャンプ場があり、そのキャンプ場の主の蛍おじさんがいます。
今、こいちゃんは、蛍おじさんと一緒に風の谷に紫陽花を植樹されているそうです。
紫陽花を植えるために、蛍おじさんが整備斜面にはスミレたちが咲き始めていました。


綺麗なコスミレさん、今年初の出逢いです(^^)


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こちらは、アオイスミレさん。早春のスミレです。風の谷にはたくさん咲くのです。



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とても淡いブルーが、何とも言えず好きなスミレです。


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もうそろそろ、花期は終盤ですが、青梅草も健在です。


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蛍おじさんが大切に育てているのです。



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ここの渓流には四季折々、色々なお花が咲きます。
そして、夏には星空に見紛うほどの蛍の乱舞が見られます。



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そして、渓流と苔の美しさは格別です。



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やはり、曇り空になってしまったため、森の中の渓谷は光が足りません。
手ブレ写真がおおくなってしまいました。


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苔は、本当にいろんな種類があります。ちゃんと名前を憶えてみたいです。


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春ですね、苔も緑が美しく生まれ変わります。


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クルクルと巻き毛の苔に、胞子がたくさん出ています。


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こちらは緑のヘビのような苔たち(^^)


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こちらは柔らかそうな、瑞々しい苔です。


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こちらは、緑が濃いですね。ゼニゴケかな?


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苔のバックは渓流です。


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岩の真ん中に、ちいさな塊がありました。これから増えて岩を覆っていくのかも知れません。


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懐かし過ぎる小滝です。
ここにはイワタバコもたくさん生えて、渓流に裸足で入って写真を撮ったものです。



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ついつい、懐かしさに夢中になってしまいました。蛍おじさんのバンガローの煙が空へと…
蛍おじさんと、しばらく楽しく談笑して、また来るねと約束して別れました。
ずうたさんも、むじなさんも、蛍おじさんと親しみを持って話してくださいました。
うわべだけで、人を見る人には、蛍おじさんの良さは判らないだろうなと思います。
ここの自然も、蛍おじさんも、大切な友達です。

蛍おじさんは、一番日当たりの良い所に、わたしが。植える紫陽花の場所を決めてくれていました。
ありがとう、絶対植えに来ますからね(^^)



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風の谷と蛍おじさんに別れを告げて、展望台まで来ました。
ここからは鳩ノ巣の集落が一望できます。


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アカシデかな、新芽が出始めましたよ。
ここから、里へと下れば直に鳩ノ巣駅に着きます。


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雲仙橋を渡りながら鳩ノ巣渓谷の絶景を望みます。


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すっかり夕暮れ時となりました。


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電車の待ち時間が少しあったので、cafe山鳩さんで、珈琲を飲みながらしばし談笑タイムです。
むじなさん、ずうたさん、こいちゃん、今日はご一緒して頂きありがとうございました。
とっても楽しい、ハナネコ女子会、もとい、ハナネコ男子会でした。
また、こんな企画も良いかもと思いました。みなさん、お疲れ様でした(*^_^*)



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by kazetatinu-h | 2018-03-17 03:02 | 渓谷