水無月の渓谷

夏の訪れを感じさせる水無月の御岳渓谷と河鹿園へ

小雨模様の水曜日、友人のKanさんと、かねてから約束をしていた河鹿園を訪ねた。
まずは紫陽花咲く御岳渓谷をのんびりと散策した。


a0379133_23173074.jpg



目が覚めるように美しいブルーの紫陽花、まるでそこだけ夢のように咲いている。



a0379133_23174563.jpg


川岸の大木に登り詰め、ツタは新緑に負けないくらい瑞々しい緑色



a0379133_23182579.jpg



渓谷の深い緑に浮かび上がるように、生成り色から水色に変わっていく紫陽花



a0379133_01152017.jpg

雨に洗われて、岩の緑が一層美しく、渕のエメラルド色がわたしのこころを掴む


a0379133_23181631.jpg



やさしい色の紫陽花に、はっと立ち止まる。「わたしを撮って…」と言っているようで



a0379133_23184146.jpg


青紅葉そよぐ『楓橋』ずっと昔…30代の頃のわたしが渡って行く



a0379133_23183421.jpg


いつも、いつも、ドクダミの真白い花の咲く頃は瑞々しい季節…



a0379133_23185633.jpg


川岸の古民家、物語を感じる。



a0379133_23190470.jpg


河鹿園に着いた。夜、この電燈が灯ると柔らかなオレンジ色になる。
こちらが旅館だった頃、仲間と一宿をとった事を思い出す。


a0379133_23193400.jpg


急に降り出した雨に、園主さんが『どうぞ、お持ちください』と差し掛けてくださったことがあったなぁ



a0379133_23194073.jpg


玄関の鉢の緑に癒される



a0379133_23194795.jpg



そっとのぞくと、ヒメダカが泳いでいた。



a0379133_23205751.jpg


a0379133_23205237.jpg


清々しいガラス細工



a0379133_23220396.jpg





a0379133_23221005.jpg


河童だ…




a0379133_23221644.jpg



イチリンソウが清楚に生けられていて素敵。園主さんが全てのお花を生けられるがセンスが素晴らしい。
茶道の生け花はいかにシンプルに生けるかだという。そしてその奥は深い。
大体お花は2種以上は生けない。生け花は575の言葉ですべてを語る俳諧にも通じるのだそうだ。



a0379133_23230371.jpg




a0379133_23234620.jpg




a0379133_23243220.jpg


金の鈴 銀の鈴振る 河鹿哉     青木月斗

a0379133_23244135.jpg





a0379133_23250105.jpg


小石を敷き詰め、飛び石のように続く廊下、昔はこのような廊下を、良く見かけたように記憶している。



a0379133_23251078.jpg





a0379133_23255889.jpg


 舟上夕立図    与謝蕪村


激しい夕立の中、小舟で渡る旅人の図、雨の雰囲気が良く出ている。
与謝蕪村は江戸時代の俳人として有名だが同時に画家でもある。

与謝蕪村の代表的なく句

 菜の花や月は東に日は西に

 春の海ひねもすのたりのたりかな

 ほととぎす平安城を筋かいに

 斧入れて香に驚くや冬木立

 さみだれや大河を前に家二軒




a0379133_23261703.jpg




白いホタルブクロに薄紫の山紫陽花一輪、萱の葉の動き、花活けの竹かごともマッチして美しい。
園主さんは、この床の間に合う掛け軸、花器、花、置く場所、全てを考えて生けていらっしゃるそうだ。
部屋に入ってくる木洩れ日や、瀬音、風の妙、そんな全てのものに包まれて、いつまでも見ていたくなる。




a0379133_23262600.jpg


障子戸を細めに開けて…その演出が心憎いほど、眼下には多摩川の青い流れと新緑が光る


a0379133_23264805.jpg


向かいの玉堂美術館と大銀杏



a0379133_23265657.jpg



くちなしの花、そう言えばあの香りにハッと気づくのも6月




a0379133_23270395.jpg


夏枯草(かこうそう)とオカトラノオ、ヤハズススキの葉 土の色を生かした細口の花器



a0379133_23270896.jpg



やはり、この床の間と、掛け軸とに、この花器と花が相応しい




a0379133_23280588.jpg



この部屋は茶室であるそうだ。お庭には小さな待合の庵と木戸がある。



a0379133_23272375.jpg



美しいシャクヤクの一輪挿し。何とも言えない華やかさと空間が素晴らしい。



a0379133_23282401.jpg


この山水画の雄大さと静けさと、白い陶磁器の花器、薄紅色のシャクヤクと。美し過ぎる…




a0379133_00225054.jpg


a0379133_23294172.jpg


緑の窓辺に置かれた籐の椅子とテーブルが涼しそうで、初夏のしつらえ


a0379133_23291297.jpg



簾越しに見るのも趣がある。



a0379133_23292062.jpg


鳴かぬ者我ばかりなる河鹿かな    吉川英治

え?あの文豪、吉川英治の句でしょうか?



a0379133_23302517.jpg


朱色のガラスの花器にホタルブクロに似た釣鐘状の花、不思議な感じ…



a0379133_23303033.jpg


渓谷の岩に懸る青紅葉と、清流の岩の上に居る河鹿蛙の図。絹糸のような流れが岩を洗う。



a0379133_23311371.jpg



こちらは、青いガラスの花器に、ドクダミとチダケサシ
お部屋が暗くて、写真はボケボケですが…



a0379133_23330684.jpg



紺色の一輪挿しに、白いホタルブクロ、何となく『律』と言う文字が浮かんだ。




a0379133_23331458.jpg




a0379133_23333291.jpg


カワラナデシコ、ガクアジサイ、矢筈ススキ、舟形の花器
ピンク色の撫子が可愛らしくて…



a0379133_23351247.jpg


渓谷には釣り人の姿が、鮎釣りだろうか?



a0379133_23353841.jpg





a0379133_00462652.jpg


やはり楓の翼果を見つけるとつい撮ってしまう。



a0379133_00464319.jpg


川に面した角のお部屋、旅の夜、この部屋で仲間たちとトランプやマジック遊びに興じた。


a0379133_00471374.jpg


ガラス窓が大きくとってあって、なんて贅沢な作りだろう・


a0379133_00471873.jpg



お庭の隅にはお稲荷さんが祀られていた。商売繁盛の神様。



a0379133_00483544.jpg

庭に続く小径も風情がある、



a0379133_00484089.jpg


丸窓の竹細工、今ではこのような細工を施すことも無くなった事だろう。



a0379133_00484658.jpg




a0379133_00485421.jpg


風鈴図  酒井抱一

吊りシノブと風鈴 風に翻る風鈴の短冊には自作の句が書かれているという。

井の端の水音涼し 柳影



a0379133_00485803.jpg


竹籠の花器に、白いシャクヤクの蕾と、紫色の花



a0379133_00490336.jpg



木の間越しに、御岳小橋が見え隠れ



a0379133_00491351.jpg




a0379133_00493333.jpg


黒びかりする黒電話の懐かしさ… なんて美しいのだろう。こんなに美しかったかな?
古き良き物に出会うと改めてそう思う。



a0379133_00500448.jpg


帆掛け船と富士山が描かれた障子の桟が芸術品だった。



a0379133_00503607.jpg


簾って、日本の夏の風物詩だなと思い起こさせてくれる…河鹿園の夏のしつらえ


a0379133_00505677.jpg

日の光が優雅に見える



a0379133_00512635.jpg


ヘビイチゴを生ける。長く伸びた蔓が空間を演出している。


a0379133_00521243.jpg

建物が傾斜地に二重に建てられている。そして一階から地下へ降りるような錯覚に落ちるが
それぞれが長めの良いお部屋、不思議な造りだ。


a0379133_00524768.jpg


大広間に飾られた掛け軸の共演  川井玉堂の作品が多数ある。



a0379133_00530321.jpg

動物たちが特に愛らしく描かれている。


a0379133_00531189.jpg


a0379133_00531548.jpg


a0379133_00532019.jpg


a0379133_00532534.jpg


一瞬立ち止まるほど美しい作品



a0379133_00532983.jpg


a0379133_00533325.jpg

a0379133_00533768.jpg


ノウゼンカズラかなぁ… 蝶も舞って美しい



a0379133_00534417.jpg


かわいい鼠


a0379133_00534949.jpg


獲物を狙うテン?それともイタチ


a0379133_00540731.jpg

このお猿の目線が素晴らしいそうだ。

これらの素晴らしい作品の数々を、すぐ近くで、ガラス越しでない天然光で鑑賞できる贅沢



a0379133_00542519.jpg


a0379133_00543025.jpg


どのガラスも、少し歪んで映る大正ガラス、その一枚一枚が曇りもなく清められている。
行き届いたおもてなしの心に、改めて日本旅館の素晴らしさを想う。


a0379133_00543515.jpg



a0379133_00544735.jpg


金色の屏風絵もまた素晴らしい。圧巻だ。


a0379133_00550857.jpg


天然石の石灯籠、多摩川の石だろうか?



a0379133_00551240.jpg


そして、近くの玉川屋さんから、お蕎麦の出前がとれると言う事で、この素晴らしい景観の中でいただくことにした。



a0379133_23245565.jpg


緑の渓谷を眺め清流の流れと瀬音を聴きながら、気品ある客室で蕎麦をいただく、なんと優雅な事…
河鹿園が旅館業をされていた頃、ランチを頂く事が出来たが、その時代の料理も素晴らしかった。


a0379133_00553262.jpg


たっぷり2時間の滞在、ゆったりと満ち足りた時間が流れた。
わたしたちは石畳を踏んで、素晴らしい美術館の河鹿園を後にした。



a0379133_00552541.jpg


紫陽花の美しい水無月の散策だった。
友人もわたしも、少しだけ時間旅行をしてきた気分だった。


a0379133_00560687.jpg

Commented by ejichan555 at 2018-06-17 21:15
こんばんは。
カメラの先が、お友だちにならせていただいてから、全然ぶれていないんだなと思います。
もう10年以上も掲載画像を眺めていますが、いつもいやされています。
なにげない静物でも、ちゃんとスポットをあてているところが、ほんと素敵だなと思っています。
ずっと、「追っかけ」していますので、これからもよろしくね。
Commented by kazetatinu-h at 2018-06-18 23:02
エジちゃん、いつもご覧くださり、イイねとコメントもありがとうございます。
10年以上も、見つづけてくださっているのはエジちゃんだけかも~(*^_^*)
えじちゃんこそ、ぶれない気持ちでずっと見守ってくださっているんだなぁと思います。
ありがたいなぁとおもっています。こちらこそ、これからもよろしくね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
by kazetatinu-h | 2018-06-16 22:17 | 渓谷 | Comments(2)

草紅葉が色づき始めたある日、湿原の奥の小さな木のベンチに風が座っていました。遠い日の記憶を呼び覚まして…


by sizuku
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31