下名栗諏訪神社の獅子舞い 2017 女獅子隠し

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下名栗諏訪神社の獅子舞いの中で屈指の長い芝がこの女獅子隠しです。
午後2時から始まり、終わるのはなんと午後4時半を回ります。
2時間半の長丁場を、一番熱い時間帯に演じるのですから、獅子舞役者はもとより、やささら、笛方のみなさんは大変です。
庭場で見守るギャラリーでさえ、暑さに負けそうになるくらいですから(^_^;)

地域の子どもたちは、出店のかき氷を食べたり、焼き鳥を食べたりして元気いっぱいにお祭りを楽しんでいます。
そして、獅子舞役者の所にもやってきます。こんな子供らしいしぐさ(*^_^*)
大きな工業用の扇風機の前に立って一時の涼を取りながら、『ア~~~~!!!』なんて叫んでます。
子どもって、きっとこういうことをしますよね。わたしも覚えがありますもの(^_^;)
あんまりに微笑ましくてかわいかったので、一枚パチリ。将来この子たちが下名栗の獅子舞の未来を担うかもしれません。


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昨今、どこの獅子舞保存会でも、ササラを担当してくれる女子の確保が難しくなっているようです。
ここ下名栗でも例外ではなく、昔は小学3年生から6年生までぐらいの少女が担当していたささらっこを、
下は小学校2年生から、上は高校生のお姉さんにもお願いしています。また、最近は男子が担当するのも少なくないです。
お父さんを獅子舞役者に持つT君は、幼いころから全ての芝のささらをマスターし、練習時などのささらを引き受けていました。
今年の女獅子隠しには、もう一人のささら男子君と担当してくれます。赤い着物を恥じらう事もなく立派な演技を披露してくれました。


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また獅子舞役者は、役者となった年から、花懸り~三拍子~竿懸り~御幣懸り~女獅子隠し~白刃(獅子)白刃(太刀)
と、だんだん難しい芝へと挑戦していき、順調なら7年目で擦り上がりとなり、一人前の獅子舞役者となっていきます。
今年、五年目を迎える獅子舞役者月影君は、熱心に練習する役者さんだそうです。
彼がデビューした時から毎年拝見していますが、とても思い切った演技をする役者さんへと成長していました。
月影君の持ち味は、高身長を生かしたダイナミックな演技ではないかと思います。将来楽しみな役者さんの一人です。
また、月影くんと同じ年にデビューした太陽君も、とても美しい舞をする熱心な新参君でしたが、今は遠方にお住いのため
参加が叶わないのだとお聞きしました。とても華を感じさせる役者さんだったので是非とも復帰を待ちたいと思います。


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ベテランの笛方さんたち、下名栗には、精鋭な笛のスペシャリストたちがたくさんいます。
親笛と呼ばれる、いわばコンサートマスターの指示により、一糸乱れぬ演奏で獅子舞をリードしていきます。
獅子舞役者と連携し、塾知した演奏とその音色の素晴らしさは、下名栗の誇りなのではないかと思います。



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女獅子隠しの芝が、何故こんなに長いのかと言うと、普遍的な「恋愛」がテーマだからかもしれません。
そして、二匹の雄獅子から求愛され、葛藤する女獅子の心模様を丁寧に演じることに重きを置いた芝だからかもしれません。
300年以上前に始まった獅子舞の「愛」のテーマは現代にも通用するものなのだと思います。



最初は仲良く遊んでいた3匹の獅子


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ある時、小太夫(黒獅子)は、女獅子を誘い出し、2匹は仲良くなってしまう。


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一人取り残された大太夫(金獅子)は、躍起になって二人を探す。


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月影くん、何だか獅子そのものになったようなオーラを感じます。


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やっと二人のねぐらを探し出した大太夫は、なんとか女獅子を誘い出そうとします。


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根気よく、何度も誘い、ようやく女獅子は小太夫への未練を振り切り大太夫の元へと付いて行きます。


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長い芝にもめげず、ささらっこは、振袖を花のように美しく広げながら舞い、ササラを擦り続けます。



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甘美な笛の音色が場内を包みます。



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今度は、小太夫が女獅子を連れ戻すために、根気よくアプローチを繰り返します。
「わたしは、どうしたらいいのだろう…」と、悩める女獅子をベテラン役者が好演して魅せてくれました。
やがて、少しずつ、少しずつ、女獅子が誘い出されて小太夫のもとへと戻った時、芝の流れが変わります。


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女獅子を奪われ怒った大太夫は、小太夫に宣戦布告し、いよいよ2匹の雄獅子の決闘が始まります。


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今までの甘美な調べは一変して、テンポアップされていく笛の調べ、緊迫感を増長させていきます。
2匹の獅子は、庭場を右へ左へと素早く移動しながら、向かい合うと姿勢を低くしたり伸び上がったり
バチを地面に突き立てたりしながら、激しく渡り合い戦いを表現します。


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満員の観客も、この時を待っていたとばかりに、庭場の臨場感はマックスに…


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満を持して、女獅子が花笠の中から飛び出し、庭場銃を駆け回り、狂います。
観客は歓声をあげ、女獅子の動きに釘付けになります。
実は、この時、先ほどまで激しい戦いを繰り広げた二人の雄獅子は、少しだけスピードを落とし、
息を整えるのだそうです。ずっと舞い続けている中で、このような工夫が凝らされていると言う所に
阿吽の呼吸とチームワークとを感じます。
自分が完璧に舞うだけでなく、相方たちとの呼吸を合わせる事が出来る。
これが、上級者のレベルなのだろうなと思います。
難しい芝を一つづつクリアしながら、新参獅子舞役者は一人前の獅子へと成長し化身して行くのかも知れません。


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拝殿の高い位置に立つと、庭場一帯が見渡せます。
ここに立って、笛方たちは芝を見守り、舞台の獅子舞役者やささらに寄り添いながら、
オーケストラとして演目をリードし続けるのだと思いました。


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笛方が庭場を降り一礼して社務所へと戻って行き、獅子とささらは最後の力を振り絞り舞い続けます。
やがて潮が引くように、女獅子隠しは終わっていきました。


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獅子とささらが社務所に戻ると、笛方が演奏し続けながら、そして仲間たちが待ち構え労いの拍手に包まれます。
無事終わった安堵と祝福に包まれて、人々が集まる、何度みても心温まる光景でなのです。
そして、獅子頭や赤い布の花笠を取った時の晴れやかな表情が、駆け寄り労う仲間の笑顔が、素晴らしい瞬間なのでした。



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DBにまとめてみました。よろしければ下記URLからご覧ください。


☆女獅子隠し 前編

http://www.digibook.net/d/5ac5e7dba0c9bf4de34d84d6b841702c/?viewerMode=fullWindow

☆女獅子隠し 後編

http://www.digibook.net/d/e414a313a1ceb50cebad04564e49f168/?viewerMode=fullWindow




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by kazetatinu-h | 2018-08-13 09:21 | デジブック | Comments(0)

草紅葉が色づき始めたある日、湿原の奥の小さな木のベンチに風が座っていました。遠い日の記憶を呼び覚まして…


by sizuku
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