キリンテへの道
2018年 10月 22日
でも、行き当たりばったりな、賭けみたいな考えではありませんよ。
初めて歩く道だから、ちゃんとリサーチもしました。
駒の兄さまにも、アドバイスをいただきました。
そして、もし天気が悪そうなら、慣れた滝沢登山口に降りる道を選ぼうと決めたのです。
目が覚めたら、良いお天気でした!!
わたしたちは、初めての道、キリンテへの道を行く事にしました。
とても美しい稜線が遥か彼方まで連なっている素敵な道です。
ずっと燧ケ岳とその奥に至仏山を見つめながら歩く道、
そして振り返れば会津駒ケ岳と駒の小屋に見守られている道です。
駒の小屋が小さく見えます。そしてその奥には緩やかな山容の会津駒ケ岳が見えます。
200㎜の望遠レンズで引き寄せました。ほら、駒の小屋が見える!
振り返って手を振って、大きな声で「お~い!!」と叫びたくなりました。
『なんだか、駒の小屋が見守ってくれてるね!』
その時、駒の兄さまの穏やかで優しい笑顔が浮かんだのでした。
『ザレ場はそんなにきつくないですよ。ゆっくり、気を付けて行けば大丈夫!
燧ケ岳の双耳峰の内側に2本のかわいい牙が生えてるのが見えますよ。
それは会津駒ケ岳からじゃないと見えないんですよ。見つけてみてください。
大津岐峠からキリンテまでは、落ち葉が降り積もったやさしい道です、迷う事はないから安心して』
そう、励まして、そっと背中を押してくれた言葉が蘇るのでした。
『もうじき、見えなくなってしまうね…寂しいね。』
『ありがとう~!!』『さようなら~!!』『また来ます~!!』
わたしたちの胸の中には、いろんな想いが溢れたのでした。
駒の小屋からはしばらく樹林帯を歩きます。
最後のシラビソを通り過ぎると、気持ちの良い稜線歩きとなります。
マイヅルソウのハート形の葉っぱと、ミツバオウレンの三つ葉がコラボして綺麗&かわいいです。
すると空いっぱいにハロが現れました。
『すご~い!!こんなの見た事ないよね!!』わたしたちは大興奮!!
【ハロ・日暈(ひがさ)】
太陽の周りに現れる、虹のような光の輪のこと。 ハロは、雲の中にある氷の粒に太陽の光が屈折してできる現象。うす~い雲が太陽にかかった時に見ることができます。
木々の間から臨めるのは遥か奥只見湖
ザレ場と言うのは、歩きはじめてすぐの稜線上の小ピークの下りにありました。
岩場の道でしたが歩きづらいと言うほどではなく、注意すれば難なく通過できる道でした。
距離もそれほどではなく、ほんの一区間だけでしたので良かったです。
はるかちゃんも、ゆっくり慎重に下っています。がんばれ!!
後には駒の小屋が見えていました。見守ってくれるように…
難所を通過したので後はルンルンの稜線の道となりました♪
遥かなる天空の道
緑の谷間に風が渡る
往く手にはいつも青い燧ケ岳が見守ってくれた
日光白根山も…
岩場には、まだコゴメグサが咲き誇っていました
杉苔も、何て青々と綺麗なんでしょう!!
ただ一輪のフウロソウ
モウセンゴケ
クロマメノキ
綺麗な色のツルリンドウ
ツルリンドウの実
コバノガマズミ
まるで箱庭
吹く風が見えるね
雄大な景色を眺めつつあるく道
針葉樹に混じって何本かのダケカンバの白い幹が見えました。
何故か、このダケカンバが黄葉するのが見たいと思いました。
あっ!!牙が見えるね!!
双耳峰の内側に、小さい突起が2本見えます!
「小さい牙」と表現された兄さまの気持ちが判るなぁ~♪
右端に白っぽい柱が立っているのが見えるでしょうか?
これが“大津岐峠”と書かれたシンプルな道標です。
ここからキリンテへと向かって下山します。
最初は草紅葉の中を下って行く道です。
ああ、ここが草紅葉に染まったら本当に黄金色の野になる。
天空の池塘
ミネカエデが色付き始めました。
山のあなたの空とおく
幸い住むと人の言う…
ふとそんな言葉が浮かんだのでした。
オブジェのような…
『逞しく生きる古りし幹、』樹齢はきっと古いのだろうと思った。
紅い茎にぬばたまの実
不思議な美しさがあると思う
クマノミズキだろうか?
こちらはムシカリの実、こちらも熟すると黒くなってくる
唯一のブナの黄葉に出会えた
ナナカマドの赤い実越しに友の後姿。お気に入りの写真です。
苔が本当に美しかった
大好きなマイヅルソウのルビーのような実
ツタウルシも色付きはじめた
ブナの巨樹が点々と続く道
そして、キノコも点々と
レース編みみたいな印象の傘が美しいと思ったキノコ
雨水をためたキノコ、その上には小さな蝶の翅が…
紅い傘に白い茎、可愛いけれど毒キノコかしらね?
イグチににてるけれど、やっぱり食菌じゃないだろうね。
ホウキダケ
見つけました!!かわいい~♪タマゴタケ
卵から孵ったばかりのヒナのよう!!かわいい♡
こちらは立派な成菌となったタマゴタケ
茎のクリーム色が特徴です。
なんて綺麗なのかしら!!
こちらはチョコレート菓子みたいなテングタケ
これの傘の赤いバージョンがベニテングタケ
言わずと知れた毒キノコですが、美しい!!
ちょっと頼りなげだけど可愛いキノコでした。
ムラサキシメジかな?と思ったけれど判りません。
とにかく紫色が綺麗でした。
色再現がぴったりでした。このままの色です。美しい!!
トチノキの巨樹
ブナの巨樹
トチノキの巨樹が林立っしていて、上からトチノミがばらばらと落ちて来ました。
かわいいトチノミがあちこちにいっぱい(*^_^*)
やがて土に還る
コナラの森になってきた。
真っ青な実にサンカヨウだと思いましたが、
この葉っぱはツバメオモトと教えてもらいました。
可愛い花が咲きます(*^_^*)見てみたいです。
この辺一帯、ツバメオモトロードでした!!
沢音が近づいてきて、苔生した流れが現れました。
細い木橋を渡ります。
何処からともなくカツラの芳香が…
ただ、黄色い一葉が存在を告げていた。
落ち葉の敷き詰められた道を歩いて行くとキリンテの登山口へ
フィナーレはミヤマアキノキリンソウが見送ってくれました。
憧れのキリンテを歩けたね!!
今年の会津駒ケ岳は、きっと忘れられない登山になると思います。
『ありがとう、しーちゃん!』と友が言い、
『ありがとう、はるかちゃん!』とわたしも言いました。
もう、それだけで何も言葉はいりません。
わたしたちは手を取り合って喜びを分かち合いました。
おしまい
長い長い記事にお付き合いくださった方、ありがとうございました<m(__)m>